Vol.3 子どもの話を”実は”聞いていないパターン
子育ては、24時間365日。
食事、睡眠などの生活習慣から、学校生活や習い事・・・子どもが関わる全ての場面に気を配っているママ・パパ達へ。
今回も、元小学校の先生で、現在は子供達と関わる先生に向けた塾「未来学園HOPE」を運営されている梶谷希美さんへのインタビューをもとに、”ついやってしまいがちな子育て”を5つのパターンに分け、それぞれの解決策についてご紹介していきます。
梶谷 希美さん(のんちゃん)
小学校の教員を10年以上、崩壊クラスの立て直しを毎年行う。
先生のための塾「先生塾」を開校したいという目標ができ、起業。
その他にも、教育プラットフォーム「未来学園HOPE」の立ち上げ、書籍の出版(先生の時間はどこへ消えた?-仕事の時短仕分け術-/学芸未来社)など活躍の幅は多岐にわたる。
プライベートでは歌うことが趣味。
子どものやりたいことには関心があるし、子どもの話をいつも聞いているつもり。でもなんだか浮かない顔。どうして?
私たち親世代が子どもだったころよりも、沢山の選択肢がある今。
好きなことを自由に選択して、取り組める環境が整っているからこそ、
「子どもの得意なところを伸ばしたい」
「やりたいことをやらせてあげたい」
そのように思う親は多いのではないでしょうか。
一方で、習い事に取り組む我が子に、つい期待をしてしまうのも親心。
「ほら、このテストをクリアして次に行くんでしょう?」
「うん・・・。」
とやる気があるのかないのかわからない返事。
本当にこのまま習い事をさせ続けてもいいのだろうか。
でも、継続は力なり、という言葉もあるし、出来れば続けさせたい。
そうやって悩むなかで、いつしか子どもがやりたかったはずのものが、 ”親のやらせたいこと” になってしまっていることはないでしょうか。
梶谷さんからのアドバイス ”ここが大事!”
以前、とある親子と、新年の抱負について話していた時のこと。
お子さんに「お正月だし、新年の抱負言いなさい」と投げかけたのですが、すぐさま「水泳では?何級になりたいの?」と続けるお母さん。
実は「新年の抱負を言いなさい」のあと、お子さんが小さな声で「縄跳び・・・」と言ったことを、私は聞いていました。
ですがお母さんの耳には届いていないのか、もしくはお母さんの思う回答ではなかったのか、「縄跳び」は拾ってもらえず。
それどころか、一言も言っていない水泳について何級になりたいのか、具体的な目標を聞かれ、しぶしぶ「何級・・・」と答えると、「あら!素晴らしいね!頑張って!」で終わってしまったのです。
ここで伝えたいのは、お母さんには悪気は全くなかったこと。
それどころか、お母さんはお子さんのことをいつも気にかけているし、よく見ているということです。
習い事の水泳に取り組む姿を見ているからこそ、期待してしまう。
そしてその頑張りを見ているからこそ、次を目指すなら「水泳しかない」ということを、お母さんの頭の中で結論づけているわけなのです。
ですがそれがお子さんにとって、一番やってみたいことではなかった。
お子さんにとっては、自分の意見を聞いてもらえなかった、という消化不良な状態で終わってしまったのです。
お子さんって、時々とんでもないことを言ったりすること、ありませんか?
例えば、「牛乳の一気飲みがしたい!」など。
傍から見ると微笑ましいことですが、我が子となると「真剣にやってるの?」「何バカなことを言ってるのよ」となりますよね。
ですが、そんな”とんでもないこと”でも、まずは「いいね!」と認めることでお子さんは嬉しいもの。
認めたうえで、「ちなみにね、お母さんは水泳を頑張ってほしいと思っているんだけど、そこはどう?」と投げかけることで、お子さんの自己肯定感も大切にしながら、お母さんのメッセージもしっかり伝える事ができるのです。
<解説💡>
大人は、大人になってから、”子どものときもっとああすればよかったな”と思うような出来事がことが少なからずあるはず。
色々な経験をしてきたからこそ、子どもには苦労をさせたくないし、子どものやりたいことは全力で応援したい。
そう思っているからこそ、ついどこかで期待をしてしまうこともあるのではないでしょうか。
ですが子どもは ”今” を生きています。
大人に比べて先のことなんてわからないし、どうなりたいかも、大人から見ると、ぼんやりしていることも多いでしょう。
例えばですが、ご主人に「今日仕事でこんなことがあったの」などと話したときに、「ふーん」と返されるよりも、ただ「そうなんだ!それで?どうなったの?」と答えてほしいと思ったこと、ありませんか?
お子さんも同じです。
「今日は学校どんなことがあった?」などのような何気ない会話の中で出た、何気ない言葉。
一見どうでもいいようなことでも、お子さんにとっては記憶に残る出来事。
大人にとって重要であるかどうかではなく、お子さん自身から出た言葉を大切にしたいものです。
一方で、いつもそばで見ているからこそ、頑張ってほしい。
お母さんのその思いは、正直に伝えるべきものだと思います。
そこで使えるコミュニケーション術が、「Yes, and I メッセージ」です。
相手の意見に対して、まずはYesで答える。
そして、それからIメッセージを繋げるというコミュニケーション。
梶谷さんの例でいう、「いいね!」と認めてから、「ちなみにね、お母さんは水泳を頑張ってほしいと思っているんだけど、そこはどう?」と投げかける方法です。
実は職場の同僚や友達など、対等な関係の間では自然とやっていること。
これを、親子の間でも意識すると、かなりコミュニケーションが変わってくることでしょう。
梶谷さんが講師を担当しているコース
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あなたのリーダーとしての成長とチームの成果が待っています。