Vol.4 子どもが動かないときに、罰や条件を与えるパターン
子育ては、24時間365日。
食事、睡眠などの生活習慣から、学校生活や習い事・・・子どもが関わる全ての場面に気を配っているママ・パパ達へ。
今回も、元小学校の先生で、現在は子供達と関わる先生に向けた塾「未来学園HOPE」を運営されている梶谷希美さんへのインタビューをもとに、”ついやってしまいがちな子育て”を5つのパターンに分け、それぞれの解決策についてご紹介していきます。
梶谷 希美さん(のんちゃん)
小学校の教員を10年以上、崩壊クラスの立て直しを毎年行う。
先生のための塾「先生塾」を開校したいという目標ができ、起業。
その他にも、教育プラットフォーム「未来学園HOPE」の立ち上げ、書籍の出版(先生の時間はどこへ消えた?-仕事の時短仕分け術-/学芸未来社)など活躍の幅は多岐にわたる。
プライベートでは歌うことが趣味。
何度言っても動かない我が子に、つい「夕飯抜きよ!」「もうこれはあげません!」と言ってしまう毎日
子育てって、本当に思い通りにならないもの。
こちらの時間の都合もあるのに、いつまでもダラダラと過ごしていたり、約束したことを守らなかったり。
そんなことは日常茶飯事。
そうしているうちについ言ってしまうこんな言葉。
「今すぐやらないと、そのゲーム捨てるよ!」
「宿題をしないなら、今日は夕飯抜きです!」
あまりいいことでないと理解しつつも、こう言わないと動かない子に、どうしたらいいのか・・・と悩む毎日。
梶谷さんからのアドバイス ”ここが大事!”
例えばですが、「悪い子にしていたらサンタさんは来ないよ」ということを言う親は多くいますが、実際にクリスマスにプレゼントを本当にあげない親はあまりいないように思います。
ここでお子さんが何を学ぶか。
「やってもやらなくても、サンタは来る」ということがわかる時期が来る、ということです。
そして、「これをしないと〇〇だよ」というように、罰や条件を与えるのは、お子さんにとってはマイナスな感情が動いてしまうもの。
「これをしないと、こうしてもらえない」「こうしないと見捨てられる」
というような、自己肯定感の低下や、愛されているという感覚の低下に繋がってしまうのです。
とはいえ、このままいくとこうなると伝える必要がある時もあります。
例えば、約束の時間を過ぎてもテレビやゲーム、youtubeを止めない時に、「このままいくと、目が悪くなるかもしれないよ。」というような、”未来の起こりうる良くないこと”についてです。
これで動くか動かないかは別として、伝えるべきことは伝える。
一方で、「このままいくと夕飯は抜きです」と伝えるのであれば、本当に夕飯を抜く必要があります。
「本当にそうなるんだ」という結果を子供自身が体験しないことには、「次はこうしよう」に繋がらないもの。
条件を与えるのであれば、嘘をつかずにその通りにする覚悟を持って、伝えるか伝えないかを決める、ということが大切です。
<解説💡>
極端な話ですが、同じ「夕飯を与えない」という行為についても、前提となる考え方の違いで、関わり方にも大きな違いがあります。
ある親御さんは、お菓子を食べすぎたお子さんに対して、
「何時から何時の間はごはんの時間。この時間なら食べられるけれど、後になってお腹空いたと言っても、ご飯は出さないよ」と伝えました。
案の定、お子さんは夜遅くに「お腹空いた・・・」と訴えてきます。
ですが、「ご飯の時間以外は、ごはんは出さないと言ったよ。」と伝え、実際に時間外にご飯を出すことをしませんでした。
そこでお子さんは「お菓子を食べすぎるとこうなるのか」と学ぶのです。
非常に難しいラインで、罰と一緒に見えるのでは?と思われがちですが、
大きな違いは、「そこに社会性があるかどうか」です。
つまりこの例で言うと、単純な親の好き嫌いなどの感情ではなく、「何時から何時の間はご飯の時間」という明確な家庭のルールがあります。
例えば時間を守るという点において、社会に出たときに、就業時間に遅れる、ミーティングに遅れるということを繰り返す人は、よっぽど仕事が出来て、何かの形で貢献しない限りは周りに嫌な思いをされてしまうでしょう。
それを大人になってから経験するよりも、子どものうちに、周りにとってもどんな意味があるのだろうか、誰に迷惑をかけるのかということを学ぶほうが、将来お子さん本人が生きやすくなる、という事に繋がります。
アドラー心理学では、子育てにおいて
- 自分でどうしたいか考えて逆算できる能力
- 周りの人と折り合いをつける能力
というような、「自立と協力」が重要とされています。
お子さんが将来大きくなった時に、自立して生きていけない、このままいくと将来周りの人と揉めることになるなと思ったら、「このままいくと、こうなってしまうよ」としっかり伝えること。
そして、将来起こりうることを家庭という小さな社会の中で、子どものうちから体験することで、どうすればよいかを考えられる機会を与えるのです。
ご飯の例は非常に極端な例です。今回の例では「お菓子を食べすぎたことによってごはんを食べない」というケースですが、お菓子なども口にせず朝まで我慢させるという例は、低血糖などのリスクもあり非常に危険です。ご注意ください。
梶谷さんが講師を担当しているコース
初心者でもプロの技術を習得し、影響力が格段にアップします。
あなたのリーダーとしての成長とチームの成果が待っています。