Vol.6 不登校な子にかけるべき言葉は?学校に行かせるべき?
仕事に家事に育児に・・・時間に追われる毎日。そんな働くママ・パパ達へ。
元小学校の先生で、現在は子供達と関わる先生に向けた塾「未来学園HOPE」を運営されている梶谷希美さんへのインタビューをもとに、アドラー心理学の考え方を活かした、子育てのヒントをお伝えしていくコラム。
【第一弾】ケースごとにみる対処法シリーズのVol.6では、不登校のお子さんにかけるべき言葉について解説していきます。
梶谷 希美さん(のんちゃん)
小学校の教員を10年以上、崩壊クラスの立て直しを毎年行う。
先生のための塾「先生塾」を開校したいという目標ができ、起業。
その他にも、教育プラットフォーム「未来学園HOPE」の立ち上げ、書籍の出版(先生の時間はどこへ消えた?-仕事の時短仕分け術-/学芸未来社)など活躍の幅は多岐にわたる。
プライベートでは歌うことが趣味。
学校へ行かせたい、でも心は守りたい、という葛藤
朝起きて、ご飯を食べて、支度をして、学校へ行く時間が近づき・・・
「おなかが痛い」「今日は学校行かない」と言う我が子を前に、選択を迫られるお母さん。
学校を休むと勉強についていけなくなるし、お友達との関わりも減る。
「行きなさい!」と無理にでも行かせたほうがいいのだろうか。
いや、でも子どもの心は守りたい。行かなくてもいいと言うべきか。
行かないでダラダラさせるのは、私が甘いのだろうか。
このままじゃ、どうなってしまうのだろうか・・・・・・。
他の子は行けているのに、どうしてうちの子だけ?
日々葛藤しているお母さんへ。
今回は、不登校のお子さんに対する接し方と、親御さんが持っていると心が少しラクになる考え方をお伝えしていきます。
梶谷さんからのアドバイス ”ここが大事!”
お子さんの不登校。
行かせるべき、休ませるべき、様々な葛藤と戦っていらっしゃるかと思います。
まず、親御さんが、学校に行って良かったと思うことはどんなことですか?
そして、お子さんにどうして学校に行ってほしいと思っていますか?
まずはこれらを、お子さんに正直に伝えてみてください。
例えば、「お母さんも、実は学校に行きたくないことがあったのよ。でも、頑張って行ったら、こんないいこともたくさんあってね。あの時学校に行っていてよかったと思っているから、〇〇にはぜひ行ってみたらいいな、と思っているんだよ」などです。
そういった対話をしても、お子さんが「行かない」と言うこともあるでしょう。
親子は一番結びつきが強いので、我が子が将来学校に行かないことで、どうにかなったらどうしよう。
という不安がありますよね。
その不安な気持ちは、否定するものではありませんし、親として当然の想いだと思います。
ただ、事実として、学校に行く選択をしても、行かない選択をしても、いい結果になることもあれば、悪い結果になることもあります。
言い換えると、「どちらを選んでも、なんとでもなる」のです。
学校に行ってほしい理由は伝えるし、良いところに目をむくお手伝いはしつつも、もし子供が「学校に行かない」と選択したら、「じゃあ、行かないなら今日1日、何をしようか?」と問いかける。
学校に行こうが行くまいが、今日1日をどんなふうに過ごしたいのか?を問うことで、自分の人生の一歩を踏めるようになることの方が私は大事だと思います。
<解説💡>
今回のポイントは、
・「させる」と「伝える」を分けること
・どんな1日にしたいか?という投げかけをすること
この2つが重要です。
①「させる」と「伝える」を分ける
「そんなこと言わないで行きなさい!」と学校に行かせる。
これが「させる」ですが、子どもが学校に行かない理由は様々です。
明らかなトラブルがあるケースもあるでしょうし、特にトラブルはないけれど、なんとなく嫌だったからということもあるでしょう。
子どもは大人に比べて、参照体験が少ないものです。
例えば2つか3つ、嫌なことがあったから行かない。
でも、本当はそれ以上に、30も40もいいことがあるかもしれない、ということを知りません。
そういう意味で、親御さんご自身が「こんな理由で、行ったほうがいいと思う」ということを「伝える」意味は十分にあります。
②どんな1日にしたいかを問いかける
お子さんのなかで学校に行かない理由があるのであれば、その気持ちは大事にしたいですね。
とはいえ、ただ気持ちを汲むだけではダラダラとこの状態が続いてしまうかもしれないという不安もあるでしょう。
そこで大切なことは、「学校に行かないという選択をしたのなら、今日1日何をするか?」ということを提示することです。
どんな選択をしても、いい結果にも悪い結果にも転ぶ可能性があるのであれば、せめて「今日はどんな1日を過ごしたいか」に目を向けて話ができるほうが、前に進みやすくなります。
最後に
人は、考え方や立場の違う人と折り合いをつけながら生きています。
学校に行くことは、それを学ぶための王道のルートであることは確かです。
ですが、自分がどうしたいか自分で決めて、関係する人と連絡を取り合い、折り合いをつけて生きていくことができるようになるための場所は、必ずしも学校ではなくてもよいでしょう。
アドラー心理学では、誰もが「人生の主人公である」としています。
お母さんの「行ったほうがいい気持ち」も大切ですし、お子さんの「行きたくない気持ち」も大切です。
お互いの考えを都度「伝え」ながら、その時に必要な選択を考えていければいいのではないでしょうか。
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