Vol.2 ダラダラとしていて、やる気がない子への適切な関わり方
仕事に家事に育児に・・・時間に追われる毎日。そんな働くママ・パパ達へ。
元小学校の先生で、現在は子供達と関わる先生に向けた塾「未来学園HOPE」を運営されている梶谷希美さんへのインタビューをもとに、アドラー心理学の考え方を活かした、子育てのヒントをお伝えしていくコラム。
【第一弾】ケースごとにみる対処法シリーズのVol.2では、いつもダラダラとしていて、何に対してもやる気がない子への関わり方をご紹介します。
梶谷 希美さん(のんちゃん)
小学校の教員を10年以上、崩壊クラスの立て直しを毎年行う。
先生のための塾「先生塾」を開校したいという目標ができ、起業。
その他にも、教育プラットフォーム「未来学園HOPE」の立ち上げ、書籍の出版(先生の時間はどこへ消えた?-仕事の時短仕分け術-/学芸未来社)など活躍の幅は多岐にわたる。
プライベートでは歌うことが趣味。
こんなにやる気がなくて、ダラダラしていて、大丈夫なのか不安・・・。
いつもダラダラとテレビばかり見て過ごしていて、やる気がない。
このままじゃ学校生活も心配だし、将来も心配。
「今日、学校どうだった?」「どんなことが楽しかった?」と聞いても、返ってくる返事はいつも「別にー。」
「どれがいいと思う?」と聞けば「どっちでもー。」と答え、
本当に、このままでいいのだろうか・・・・。
身近で関わる身としては、とても不安になると思います。
突然ですが、ここで質問です。
あなたはなぜ、やる気を出さないといけないと思っているのでしょうか。
やる気が出ると、どんないいことがあるのか、やる気がないことによってどんなことに困るのか。
ご自身の体験などから考えてみてください。
さて、なぜこのような質問をしたのか、梶谷さんのアドバイスを交えて解説します。
梶谷さんからのアドバイス ”ここが大事!”
よく、やる気がないという相談を受けます。
家だけではなくて、学校でもダラダラとしているようで、やる気がなくて困っている、と。
それに対する私の答えは、「やる気がなくてもOK!」です。
親御さんご自身の中にある「やる気を出さないといけない理由」はどんなことでしょうか。
やる気が出るとどんないいことがあるのか、やる気がないとどんなことが困るのか。
それをそのまま、お子さんに話してみてください。
そうやってお子さんと対話をするなかで、お子さんが少しでも集中することを探してみるのです。それはテレビでもゲームでもYoutubeでもOKです。
なぜならば、「ちゃんと、そこにやる気がある」のですから。
そこの何がいいのか、どんなところに夢中なのか、話を広げてみてください。
<解説💡>
日本におけるアドラー心理学の第一人者、野田俊作先生によると、「やる気がない人は1人もいない」そうです。
今にも溢れそうな高い標高にある湖を「やる気の湖」とすると、やる気がないのではなく、
「あれはだめ!これやりなさい!」とあの手この手でせき止め続けているだけだと。
そして、アドラー心理学の考え方として、
「どこから来たか」ではなく「どこに向かうか」を重要としています。これを、目的論といいます。
勉強を例にとると、勉強をすることにどんな意味があるのか、自分にとってどんな得があるのか、勉強のなにが楽しいのか。
そういったことがわからないまま、ただ「やりなさい」と言われたら、どこに向かいたいのか、何のためにやっているのかがわからないもの。
でも、例えばYoutubeが好きなのであれば、普段どんなチャンネルを観ているのか観察してみてください。
その内容に関連する職業に憧れがある場合もありますし、出ている人が好きな場合、またはYoutube自体が好きということもあるかと思います。
「このYoutubeに出てくる人のようになるにはどうしたらいいだろう」
「この人に会うためにはどうしたらいいだろう」
「動画を制作して配信してみたい」
様々な選択肢があるなかで、本人の「好き」を実現するために、「勉強が必要だ」と本人が感じられれば勉強をするでしょうし、そうでなければ別の手段を考える。
先ほどの「やる気の湖」の例で言うと、せき止められた「やる気」の湖がどこに決壊するかは人それぞれで、親が望まないほうに行くことも勿論あるでしょう。
ですが、決して「やる気がない子はいない」のです。
梶谷さんが講師を担当しているコース
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