アドラー心理学では、「すべての感情には目的がある」と言います。
普通、私たちは、「〇〇が起きたから悲しい」とか「〇〇されたから怒ってる」という風に、感情は目的ではなく、結果と考えています。それが、「目的がある」とは、どういうことでしょうか?
人は相手や自分を操作するために感情を使う
人は相手や自分を操作するために感情を使う
その目的には、2つあると言います。
目的1:人を操作するため
目的2:自分を操作するため
本人が気づいているか気づいていないかは関係ありません。
「部下に対してイライラ」している上司
例えば、「部下に対してイライラ」している上司がいるとします。
その上司がイライラしはじめると、部下が、いつもよりテキパキ動くかもしれません。
その上司も、薄々心の底で、「部下がもっと言う事を聞けばいいのに」と思いながら、それを適切に伝える方法がわからなくて「イライラ」という感情を発動しているのかもしれません。
もう1つ例を書いてみましょう。
落ち込んでいて元気のない部下
落ち込んでいて元気のない部下がいるとします。
その部下は、「もうこれ以上仕事で頑張るのは無理だ。こんなに落ち込んでいるのだから」と自分を納得させようとしているのかもしれません。
案外、仕事を割り切って、趣味に没頭するようになったら、落ち込んでいることなんてすっかり忘れてしまったなんてこともあり得ます。
感情の目的は何かを考える
こんな風に、人は、相手や自分を操作するために感情が使われています。多くの場合、本人も相手も「操作している、されている」ことに、気づいていません。
ちょっと立ち止まって、この感情の目的は何かな?と気づくことで、自分の目的を別の方法で実現しようと考えられるようになります。
感情に振り回されないための対処法
そうすると、「感情に振り回される」ということがなくなっていきます。
そうはいっても、「ついつい部下を叱ってしまう」そんな時もありますよね?
そんな人にアドバイスです。
その場を離れて気持ちを落ち着かせる
もう叱ってしまった時は、まずその場を離れて、気を落ち着かせてみましょう。
大きく伸びや深呼吸を数回してみるのもいいでしょう。
そして、自分の心の内側を探ってみます。
自分自身に問いかける
こんな風に問いかけてみてください。
「怒る方がいい結果でそう?それとも、怒らない方がいい結果につながりそう?」
「中長期的に、その部下にはどうなってほしい?」
「どんな風に、部下が動いてくれたら、むかむかしない?そんな場面を考えてみると?」
怒りという感情を使わずに結果を手に入れる方法を考える
そして、「怒り」という感情を使わずに、結果を手に入れられる方法があるかどうか考えてみます。
もしかしたら、冷静に考えてみると、今の部下のレベルでは、できないことがあるかもしれません。
その場合は、今、できる最善のことは?どんなステップにしたら最終的にできるようになりそう?
そんな工夫が必要かもしれません。
感情は原動力
感情は、悪者ではなく、エネルギー、原動力の一つです。
人間は、感情があるから生きていけます。
自動車のガソリンのようなものです。
ガソリンや感情そのものには善悪がありませんが、使い方によって、善意の方向にも使えるし、悪意として破壊を導く方向にも使うことができます。
感情を肯定的に使えるように選ぶことが大切
自分自身が、感情に振り回されるのではなく、「感情の主人」として、肯定的に使えるように選んでいけることが大切です。
感情を選べるようになると、自分を奮起させて行動するために使ったり、相手を励まし、勇気づけするために使うことができるようになります。
まずは、「自分の感情に気づく」ことからスタートしてみましょう。