森田佳奈子さん(もりかなさん)
国際保健を大学で教えており、途上国や災害時の緊急支援活動家でもある。シングルマザー。
若い頃は阪神淡路大震災の心のケアを担当し、その後もハイチ、赤道ギニア、東日本大震災など、世界各地の緊急支援に携わる。
平本式現場変革リーダー養成コース11期に参加。
本記事は、弊社代表の平本あきおがインタビュー動画を収録させていただき、それを元にまとめた記事です。
前編の記事はこちらからぜひお読みください。→https://hiramotoshikiold.jp/morikana_1/
支援活動を行う理由が分からなかった
実は私が平本式であらためて心理学やコミュニケーションを体系的に学びたい!と思った理由は「なぜここまで支援活動に関わり続けるのか」が、私自身では分からなかったからです。
平本式を受けてから「なぜ途上国と関わり続けるのか」を問い続けることで、
最近その答えが言語化できるようになりました。
自分が育った環境や両親の仕事をあらためて振り返った時に、そのヒントを見つけたんです。
冬になると心が苦しくなる
私の家庭は、父が校長先生、母は乳児院で2歳以下の捨てられた子たちのために働いていました。
私が幼い頃、季節は冬。
母「かなちゃん」
と、母が泣きながら私に語りかけてきます。
私「お母さん、どうしたの?」
母「またね、へその緒がついた裸の赤ちゃんがダンボールに捨てられてたんだ」
悲しそうに母が泣いているこのシーンは、いまだに心に焼き付いています。
それもあってか、私は毎年、冬が来ると心がすごく苦しくなるんです。
途上国では、冬に捨てられた赤ちゃんが本当にたくさん死んでしまいます。
支援活動を行う理由は母の涙
私が世界中で孤児を救う活動をしているのは、
「母を泣かせたくない、母が泣かずに済む世界にしたい」という思いが根底にあるからなんだ!
と、平本さんとの学びの中で少しずつ言語化ができてきました。
臨月でも支援活動を続けた
私はいても立ってもいられない性格なので、妊娠中も支援活動を続けていました。
妊娠2か月でケニアへ行き、ユニセフとWHOのポリオキャンペーンに参加した。
臨月の時も、おなかの張り止め薬を飲みながらハイチで支援活動をしていました。
帰りのアメリカンエアラインズの飛行機では、
さすがに、おなかが張りすぎたので横にならせてもらいましたけどね。
「妊婦だから」「女性だから」と制限を設けることなく、
私自身がワクワクして夢中になり、支援活動を楽しんでいただけなんです。
出産後の裕福な生活を捨て、再び支援活動へ
出産後は何不自由なく、裕福な生活をしていました。
いわゆる、マダムでしたね。
でも生活の中にやりがいや自分軸はなく、私にとって人生の中で一番孤独で、不幸な時期でもありました。
「マダムな自分は幸せじゃない!!」
と、マダムな生活を捨て、子どもを連れて再び赤道ギニアの中長期プロジェクトに就任しました。
そこには、私の求める理想の姿がありました。
- 高いポストがある
- 子どもはナニー(お手伝いさん)に育ててもらえる
- 自分でお金を稼げる
- 全て自己決定できる
「途上国支援をする私こそ、本当の私だ!」と気づき、幸せでいっぱいでした。
そして、周りに何を言われても「これでいいんだ!」と思えましたね。
私の人生のメタファー「神様のUFOキャッチャー」
講座を受講中に、過去を振り返っていて、気づいたことがあります。
私がこれまで本能的・直感的に行動してきたことは、ある1つの考え方にインテグレーション=統合されるのです。
それは「神様のUFOキャッチャー」。
ある日、神様が私をアームで掴み、支援が必要な場所に「ポトン」と落とします。
私はそこで何かをする使命があるので、見えない力が働いて神様に連れていかれるのです。
逆に、自分の意思で何かをしようと思ってもできない時には、
「まだ自分の関わるべき領域ではない」と割り切れるようになりました。
国際女性会議のトイレでの出会いが国家プロジェクトに
「神様のUFOキャッチャー」での印象的なエピソードのひとつが国際女性会議。
外務省が主催する日本のジェンダー平等を議論する会議で、
世界各国や地域、国際機関から女性の分野で活躍するトップリーダーが集結していました。
休憩時間のことです。
女性の参加者が多く、トイレには長蛇の列。
私の前には黒人の大きなおばちゃんが並んでいました。
なかなか列が進まないので、そのおばちゃんとお喋りをはじめたんです。
(関西弁のような英語です)
あんたおもしろいよね~
ルワンダよ~
用を済ませた後、おばちゃんと名刺を交換したら、その女性はなんと、ルワンダの大使だったんです。
記念に大使と写真を撮って、ルワンダ人の友達に送ってみると、
友人「かなこ、なんで大使と一緒にいるの?」
私「国際女性会議のトイレでこんなことがあってさ~……」
友人「そうだったんだ。実はやりたいプロジェクトがあってね」
私「おばちゃんに言っとくよ~」
そうして、友達とおばちゃんを仲介することに。
その後この話は、国家プロジェクトに発展していきました。
このために神様からUFOキャッチャーで落とされたのだと、私自身はあとから気づきました。
影響力のある方々との出会い
「神様のUFOキャッチャー」の考えに従うと、自分でも考えられない人と出会えます。
例えば、元首相夫人の安倍昭恵さん。
私は「もっと日本人に災害支援に興味を持ってほしい」と常々思っていました。
そこで、支援活動をされている安倍昭恵さんに思い切ってFacebookでメッセージを送ってみました。
すると、お返事を下さり、なんと首相公邸にまでお招きいただきました。
また、国際女性会議の会場では、ノーベル平和賞を受賞された女性活動家マララ・ユサフザイさんのお父様ともお話ができました。
私が「母という立場から、女の子の教育を世界で進めたい」という話をしたところ、
「believe yourself, believe your dream(あなた自身を信じて、あなたの夢を信じて)」という言葉を書いていただきました。
「神様のUFOキャッチャー」に従い、無欲で取り組んでいたからこそ出会えた方々だと思っています。
世界中の仲間とSNSでつながる重要性
私は、支援活動で訪れた国の方々と信頼関係を築き、その後もSNSでつながっていることが重要だと考えています。
例えば、災害や紛争など困ったことがあると、みんな私にSOSのメッセージを送ってきます。
私はすぐに現地には行けませんが、
「そっちでグループを作って、これとこれをやっといて」と、必要なことを遠隔で伝えられますし、力になることができます。
世界中に信頼しあえる仲間がいて、困った時こそ助け合えれば、
世界はもっと良くなるんじゃないかなと最近気づきました。
目的論を広めて世界を良くしていきたい
これから私が一番に目指すのは、「目的論の世界を広げる」ことです。
平本式の学びの中で「命の広がり、笑顔が広がる社会づくり」「つながる広がるイメージ」というキーワードが出てきました。
途上国の人たちは互いの足を引っ張るのではなく、目的論の考えを持ち、
自分たちで「本当はどうなったらいい?」「本当はこうしたいよね」と、前を向いて進んでいってほしいのです。
みんなの共有ゾーンがつながり、みんなで良くなっていく世界を作っていきたいですね。
社会にとって何が大事か、そして個人にとって何が大事か、共有する部分のこと。
目的論コミュニケーションでつながっている人との繋がりは、信頼がベースで、まさに、「ソーシャルキャピタル」(人為資本)を作り出すためのマスターキー。
日本社会も、社会格差や分断からくる問題課題に試行錯誤しています。
この時代に、ソーシャルキャピタルをどう担保していくのか、その重要な取り組みの1つが、平本式で提唱する「目的論コミュニケーション」なのではないでしょうか。
私の探求は、まだまだ続きますが、これからも「命の広がり、笑顔が広がる社会づくり」に向けて、精力的に、そしてバランスよく、活動を続けていきたいと思います。
本記事は、平本式現場変革リーダー養成コースを受講した後のもりかなさんのお話しを要約したものです。
実際に平本さんともりかなさんがお話しされているインタビューも下記にございますので、こちらもあわせてご覧ください。
writing by Takaaki Yasui