こんにちは、ニシティです。
前回の記事(心理学だけでは説明できない・・・平本式カウンセリングの謎)では、平本式のカウンセリングが非常に有効なのは、「人間の習性」に働きかけているからこそだ、というお話しをしました。
とは言っても、「習性」って何やねん!と思われる方も多いですよね(笑)
今回は、その「習性」について少し触れるとともに、カウンセラーってどんな生活しているの?(これよく聞かれるんです。)についてもお伝えできればと思います!
カウンセラーはどんな毎日を送っているの?
さて、本題に入る前に少しだけ。カウンセラーってどんな毎日を送ってるの?ってよく聞かれます。
これは、私自身の今の生活ですが、まずは、一日最大で3件程度の心理カウンセリングのセッションを1対1でやっています。
その他の時間は、ヨガをしたり、大好きなバイク(大型)でツーリング、そして、2人の娘と遊ぶ時間もたっぷりとっています。特に、娘との時間は、質と量のどちらも重視しています。今だけしか過ごせないかけがいのない時期だということもありますし、成長をサポートしたいという気持ちもあります。また、妻がやりたいことに取り組めるようにお互いサポートし合うという理由もあり、私が娘と一緒に過ごす時間を、ここ数年で意図的に増やしました。
あとは、学びの時間の確保です。そのとき気になったことを勉強したり、調べたりしています。本を読むことも大好きなので、ほぼ毎日、本や論文を読んでいます。
基本的に好きなことばかりをしていますが、「自由」が私の価値観の中で優先順位が高く、それを満たしている生活です。
以前はカウンセリングを一日10件以上お受けしていた時期もあったのですが、色々試した結果、一日3件までにすることで、ライフスタイルのバランスがよくなったと感じています。
カウンセリングで心が震える瞬間
カウンセリングをしていて私自身が嬉しく思うのは、クライアントが「自分の人生に意味を感じ始めた」瞬間です。
「水を飲んだら喉が潤う」ように、これまでの経験から、カウンセリングでクライアントの状態がよくなっていくのは当然だと思っています。
お話しをしていると、「今は生理的にこういう状態だな〜。」「こう関われば状態がよくなって、自分の力が発揮できるようになるな〜。」という全体的な道筋が見えてきます。
それは人間の生理的な仕組みや習性を学んだことやこれまでの経験で、人間の潜在的な適応力や成長のプロセスが分かっているからだと思います。
そのため、「クライアントが自分で問題を解決できる」ことを信じるどころか、その力が当然備わっているのですから、もはや「解決は当然」になっているんです。
ただそれでも、クライアントさんに起こる変化は、すごく私にとって興味深いです。
クライアントは「よくなる」につれて、視点が変化していきます。
関わる前は「周りがこうだから」とか、自分がこうしたいのに周りは分かってくれない、とどちらかと言えば「相手に目線を向けた」表現が多いです。
でも関わっていく過程で次第に「自分がこうしたら周りはこうなりました。」と、「自分に目線を向けた」表現が増えてきます。自分の人生に意味を感じ、主体的に関わるようになります。
クライアントのこの変化を、本当に嬉しく思います。
また、グリーフカウンセリング(身近な人やペットなど大切な存在を亡くした人へのカウンセリング)をしたときも感動を覚えます。
クライアントは「変えたくても変えようのない現実」に直面した本当に苦しい状態で相談にいらっしゃいます。
受け入れがたい現実をさまざまな視点から味わい、徐々に受け入れ、少しずつ新しい人生を歩み始める姿に、人の奥深くにある強さや可能性を感じます。
私自身、そのお手伝いができていることを本当に嬉しく思っています。
(ちなみに、私のセッションルームは、こんな感じです)
カウンセリングセミナーで表情が変わる理由
さて、本題です。
平本式の心理カウンセリング4日間集中コースで、多くの人が表情の変化を目にすると思います
それは心理カウンセリングの4日間で「スッキリする」からです。
「スッキリする」とはどういうことか。ざっくり説明すると「自分の内側で抑圧していた感情が仲間に伝わって緊張が解除された」状態と言えます。
ちなみに表情をつくる表情筋だけでなく、喉や、姿勢をつくる背骨と首周りの筋肉(胸鎖乳突筋や僧帽筋など)や、内臓の緊張なども変化しています。そのような変化を言葉にすると「スッキリ」となるんです。
人は「自分のことが仲間に伝わった」とき、緊張から解放されます。
これは危機介入のお手伝いしている時に感じたのですが、トラウマになりやすいのは「言えなかった」「伝えられなかった」ことです。
人間は「伝えることを我慢する」と伝えるまでの間ずっと「伝えないと…!」という状態になります。この緊張感がいつの間にか苦手意識になったり、感情的になる引き金になったりします。
この「伝えないと…!」は人間が社会性を獲得して生き残ってきた結果で、人間の習性です。この習性についても話したいのですが、今回は紙面の関係で割愛しています。
平本式ではこの人間の習性を非常に上手に扱っています。だからこそ、シンプルだけど結果が出るカウンセリングができているんだと感じています。
カウンセリングを人間の習性から考えてみると
さらに、心理カウンセリングを「習性」という観点で考えてみます。
子どもは親から、この世界での「生き方を受け継ぐ」習性があります。
それこそ、お母さんのお腹の中にいる時から、お母さんの「世の中に対するストレスの感じ方」と近いかたちで反応するよう、子どもの神経も影響を受けると言われています。
そして生まれた後も、その「環境」に適応していきます。
例えば、お母さんがすごく心配性で、何でもお母さんが決めてしまう環境だったとします。
自分で決めようとするとお母さんから「失敗したらどうするの」とか「あなたはちゃんとやれないんだから」などと、反発を受けてしまいます。
一方、そのお母さん自身も「親に決められる」体験を経験していることが多いのです。
お母さんは自分で決められる子になってほしいと思っていても「親が決める」ことが習性として身についているので、同じことを繰り返してしまいます。
こんなふうに、環境への適応の仕方が「世代を超えて」続いていきます。これは人間の習性によって代々伝わってきたものですから、それ自体に良し悪しがないのはわかりますよね?
ではカウンセリングでは何をするか、
「その環境で身につけたやり方があるんだね。それはそれで役立ってきたね。さらに自分らしい環境を作っていく新しいやり方を身につけてみない?」
と提案します。
平本式では、心理カウンセリングにおいて、行動レベル、認知レベル、情動レベルの3つを区別してアプローチしていきます。
行動レベル
行動レベルのカウンセリングというのは、さまざまなトレーニングや実践経験を積み重ねることで、神経回路に新しい配線をつくり、現状や未来に向けたより適した行動を身につけることです。
認知レベル
次に認知レベル。
脳は「情報が揃っていれば」最適な行動を取ることができます。
問題場面から離れて俯瞰したり、立場を入れ替えて違う視点から観察することで、クライアントが今まで気づかなかった新しい情報に触れることができます。
また、知っている情報と自分の感情や思考が適切に繋がり理解が進むことで、より最適な行動がわかります。
すると、クライアント自身が「あ、そういうことか。」と自分から気づいて、今までとは違った「さらに」適切な新しいやり方に気づけるようになるということです。
情動レベル
さらに情動レベルでは何をしているか。
ショックな出来事があると、体は同じような場面から身を守るために「自動反応」するようになります。その「自動反応」があまりに強烈だったり、自動反応ができた時期が古すぎてエピソードを忘れている場合、自分でも「なぜそうなってしまうのか」わかりません。
理由はわからないがコントロール不能な感じです。
そうなると、新しい情報に気づいても、新しいやり方をトレーニングしようとしても、なかなか思い通りに行動できません。かえって悩みが深まったりします。
過去のショックな体験を様々な理由で誰にも伝えられないとき、自分で自分を守るために防衛的な「自動反応」が生じます。つまり「自動反応」があるときは、先述した「伝えないと…!」という状態になっているんです。
だから、一緒に準備をして過去のショックな体験の特定の場面に入っていき、そのとき伝えられなかった感情を解放していきます。ここに共感するんです。仲間として共にいて「伝わったよ」「わかるよ」と相手に伝えていきます。
するとクライアントの防衛的な「自動反応」は不要となり、消えたり、コントロール可能な範囲に抑えられるようになります。
このように、人間という「生物」として見ると、カウンセリングってすごく分かりやすくなります。
「人間そのもの」への理解を深めると
カウンセリング4日間で扱っている技術の多くは、実は人間の習性やメカニズムに基づいた高等テクニックです。
4日間では体験から学んでいただくために、あえて説明やメカニズムの解説を省略しています。
4日間の学びに加えて、さらに「なぜそうなるのか?」という理由が理解できると、「こうしたらこうなるよね。」と少しの練習量で技術をより自由に扱えるようになります。
例えば、こちらが携帯をみながら相手の話を聞く情報収集モード。このとき相手は話してくれなくなりますよね。
これはつながりを感じ取る神経系が反応しているからで、平本式の講座はこのような人間の習性を考慮して組み立てられています。
人間の習性やメカニズムを理解した上で心理学について学ぶとより一層理解が深まります。また、カウンセリングなどのコミュニケーション技術を扱うときの視点もそれまでと大きく変わります。
私自身も「人間そのもの」への理解を深めることがこんなにもカウンセリングやコーチングに影響があると思っていませんでした。
世界中で心理や神経、脳科学、進化など、さまざまな研究が日々行われています。これからもこういった研究結果を通して「人間そのもの」への理解を深めたいと思います。
writing by Takaaki yasui
西たかお(Nishi Takao ニックネーム:ニシティ)
心理カウンセラー。科学的な人間理解に基づく心理カウンセリングで、5,000人以上の悩みの解決をサポート。うつ、自殺予防、グリーフケアなどの領域の心理カウンセリングを得意とする。
以前は、コミュニケーションが苦手なIT・エンジニア系プレイングマネージャー。様々な問題を1人で抱え込み、身体不調からうつに。死ぬことしか考えられない日々の中で心理学を学び始める。同じ思いを抱える人を支援するため、心理カウンセラーとして活動をスタートし、独立開業。
企業の相談室での心理カウンセラー、コミュニケーション指導や少年院での心理カウンセリング、事故災害後のメンタルケアなども経験。
心理カウンセラーの専門家として、10年以上の経験・実績。
平本式では、心理カウンセリングのスーパーバイザーとして、また、瞑想リトリートの企画・アドバイザースタッフとしても活躍している。
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