カウンセリングのヒント:身近な人のカウンセリングはどうしたらいい?その2

親子や家族など身近な人のカウンセリング。
うまくできる条件は3つ。

  1. カウンセラーが安心安全で
  2. クライアントと信頼関係があり
  3. クライアントに問題解決の意思があるとき

今回は2の「信頼関係」について。

心理療法やカウンセリングを学ぶと信頼関係を築くのが大切と言われる。
ラポール形成とか、なぜかフランス語の入り混じった言葉で説明されることもよくある。

信頼関係?そりゃあ大切に決まってるだろう。
では、心理カウンセリングにおける信頼関係とは何だろう?

信頼関係とは

一言で表現するとこうなる。
「安心安全を感じられる関係性」

別の言い方をすると、
「この人とありのままでいられる」と主観的に感じられることだ。

この人なら、自分が良いと思ったこともダメと思ったこともひっくるめて受け容れてもらえる。
弱みを隠す必要がない。

苦手なこともそのままにしてもらえるし、必要なら一緒に考えてもらえる・・・感じがする。
だからこそ、落ち着いて自分に向き合える。

これが信頼関係。
逆に信頼関係がなければ勝ち負けの世界に入ってしまう。

コイツに弱みを見せたら最後だ・・・強がって大丈夫なふりをせざるを得ない。
弱みに触れられないよう、怒ってしまうかもしれない。

これじゃあ相手に意識が向いて自分に向き合うなんてできない。

みなさんの環境はどうだろう。
互いに信頼関係が築けているだろうか?

あ、ああ、なるほど・・・信頼関係が大切なのはわかったよ・・・。
じゃあ、どうやって築けばいい?

信頼関係を築くには

信頼関係を築くポイントは色々ある。

カウンセリングでは信頼関係構築の技術体系があるくらいだ。
そこで身近な人との関係に絞ってみよう。

「自分の凸凹(特にダメなところ)をオープンに」
(※信頼関係構築のポイントは実践コースDay1で詳しく学びます。)

失敗は・・・怖い・・・。
誰にとってもそうだ。

テストで悪い点をとったり、試験に不合格になるのはイヤだ。
走るのが他人より遅い。運動が苦手。
話すのが苦手。友だちをつくれない。

できない自分を人と比較して落ち込んだり、他人から低く見られてショックを受ける。
ダメなところがある自分、完璧でない自分、そんな自分に自分で失望してしまう。

誰でも一度ならず経験したことがあるだろう。
自分のダメなところを他人に知られたくない。

例え親であっても・・・!
むしろ、親や兄弟に知られることの方がイヤだ・・・!

何しろ親兄弟は遠慮がない。そんなんだからダメだと説教されるかもしれない。

心配をかけてしまうのも気が引ける。
かくして、身近な人ほど自分のダメなところを言えなくなる。

こういうとき、親がたくさん勉強して、優秀で非の打ち所のない完璧な存在だったら・・・
子どもは失敗や悩みを打ち明けられるだろうか。

 

うーん、劣等感・・・。
しかも完璧な状態に変えさせられそうで怖いぜ・・・!
(※昔の私は完璧な理論武装で非の打ち所のない存在のふりをしていた、すまん!)

逆に、自分の失敗にオープンで、うまくいかないことや悩みを自分からカラッと話していたら・・・。
不完全を受け入れた存在だったら、子どもにとってどう見えるだろう?

ああ、親も失敗するんだな・・・。
自分がダメなわけじゃないんだ・・・。
誰でもできることがあればできないことがある。
得意なことも苦手なこともある。

私たちのできることは、ほぼ、何を経験したかによる。
1日24時間365日、限られた時間を何に使ったか表しているに過ぎない。

何かに力を注いだら、その分他のことはできなくなる。
必然的に凸凹がある存在なのである。

こういう凸凹を日常的にオープンにする・・・自分から・・・!

子育てが上手くいかない。
完璧な親でない自分がイヤだ。
親と仲良く過ごせない。
勉強はむずかしい。

それでOK・・・!だってそうなる理由があるだろう・・・?
子どもを思うからこそ言えなくなる・・・が、実際は逆説的。

自分のダメなところをオープンにできる分だけ相手はその影響を受けて自分をオープンにできるようになるのだ。

もちろん、得意なこともオープンにする。
苦手を得意で補い合う関係も、苦手なことをオープンにできるからこそだ。

自分の凸凹をオープンにする。これは自己受容とも直結している。
自己受容の分だけ信頼関係が深まる。

ここにコミュニケーションスキルを加えると、信頼関係構築の速度と深さが増す。
まずは自分をオープンにしよう。

(※これは信頼関係を築きたい相手に対してなので、誰に対してもオープンである必要はない。)
(※コミュニケーションスキルも奥が深い・・・別の機会に!)

まとめ

身近な人との信頼関係の築き方。

まずは自分の凸凹をオープンに。

ダメなところと得意なところを自分からオープンにすることで、相手も自分をオープンにしやすくなる。
ちなみに、自分をオープンにすると相手から見てわかりやすい存在となる。

わかりやすさは、そのまま安全感に直結している。
何を考えているかわからない相手に心は開けないよね?

オッケー・・・。
自分をオープンにして、コミュニケーションをとりながら信頼関係を築けてきたぜ・・・!

ここから次の条件「問題解決の意思」に移行する。
ではまた・・・!

 

 

心理カウンセラー 西たかお

西たかお(Nishi Takao ニックネーム:ニシティ)


心理カウンセラー。科学的な人間理解に基づく心理カウンセリングで、5,000人以上の悩みの解決をサポート。うつ、自殺予防、グリーフケアなどの領域の心理カウンセリングを得意とする。
以前は、コミュニケーションが苦手なIT・エンジニア系プレイングマネージャー。様々な問題を1人で抱え込み、身体不調からうつに。死ぬことしか考えられない日々の中で心理学を学び始める。同じ思いを抱える人を支援するため、心理カウンセラーとして活動をスタートし、独立開業。
企業の相談室での心理カウンセラー、コミュニケーション指導や少年院での心理カウンセリング、事故災害後のメンタルケアなども経験。
心理カウンセラーの専門家として、10年以上の経験・実績。
平本式では、心理カウンセリングのスーパーバイザーとして、また、瞑想リトリートの企画・アドバイザースタッフとしても活躍している。

 

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