親子や家族など身近な人のカウンセリング。
うまくできる条件は3つ。
- カウンセラーが安心安全で
- クライアントと信頼関係があり
- クライアントに問題解決の意思があるとき
今回は3の「問題解決の意思」について。
カウンセラーが安心安全で、クライアントと信頼関係があるとき、クライアントは初めて問題と向き合える。
解決したい悩みや問題があり、身近に解決を手伝ってくれる人がいたら、安心して課題に挑戦できる。
自力で挑戦を続けることも、助けを求めることもできる。
助けを求められたら、私たちカウンセラーの腕の見せどころだ。
カウンセリングの場作りをして、問題の核心を見つけられるよう現場検証。
そして仮説検証。
学んできた技術を生かせる。
本人は気持ちも課題も整理できてスッキリ。
おお、学んできて良かった。
よくやったな、ワシ・・・!
まあ・・・実際には・・・ここまですんなりいかない。
なぜなら、カウンセリングの前に問題解決の意思を検討せなばならないからだ。
問題解決の意思・・・
それってどういうこと・・・?
問題解決の意思
「自ら解決する動機があるか」
もしくは
「課題を自覚しているか」
ん〜・・・これはヤバいな・・・どうにかしたい・・・!
と「本人」が思えているのが大事。
カウンセリングは共同作業。
クライアントの主体性があってはじめて成立する。
この点、カウンセラーという職業においては比較的分かりやすい。
クライアントは解決したい問題がある前提でセッションを申し込むからだ。
(※危機介入や企業の全員面談はこうはいかない)
相手が身近であるほど、問題解決の意思の扱いがむずかしくなる。
私がモヤモヤしちゃう問題
相手に問題がある。どうにかしないと・・・!
特に子ども相手だと先が気になって色々やりたくなる。
そう・・・本人ではなく「親」の方がどうにかしたくなっちゃうのである。
- 苦手なことに挑戦しない
- テストの点数が低い
- いつも1人で遊んでいる
- 寝転んでスマホやゲームばかり
親から見れば心配になることは多い。
自分と似たような失敗はしてほしくない。
子どもを思えばこそ、だ。
だが、子どもの代わりに親が問題意識を持って先回りして関わるとどうなるか・・・。
子どもは快適そのものになる。
問題を指摘されても
「は?何がいけねーんだよ・・・!」となりやすい。
何しろ問題と直面せずに済んでいるのだ。
問題に薄々気づいていても先走って指摘されると防衛的になってしまう。
なるべく不快は先送りして現状維持・・・!
これじゃあカウンセリングしようにも余計なお世話でしかない。
問題に気づいていない問題
親が問題に気づくのは、似たような問題を経験しているから。
逆に考えると、経験していない問題は気づきようがない。
参照体験がないのだから、考える材料がそもそもない。
さらに即効性のない問題は問題と認識できない。
これは大人であっても同じだ。
このままゲームをやり続けるとどうなる?さあ?
勉強ができなくて大丈夫?
親や先生がうるさいけど、そんなこと知るか・・・!
たとえ頭でわかっていても机上の空論にすぎない。
ダイエット中の大人、目の前のツヤツヤしたスイーツが・・・私を呼んでる・・・!
食べたら120%幸せな自分が浮かぶ。が、ダイエットに影響するんだよな・・・。
なんてことは関係ない・・・!私は今を生きる・・・!
となるだろう。
(※私はなる)
かくして本人は問題意識を持つことなく、漫然と今まで通りを繰り返す。
そんな相手にカウンセリングしようにもやっぱり余計なお世話になってしまうのである。
困ったな・・・どうすればいい?
問題解決の意思を持つための関わり
これも起こりうる問題に対処すればよい。
概ね以下のような方針になるだろう。
本人が困るまで見守る
本人が問題に遭遇したとき、それは本人が経験すべきものだ。
人は試行錯誤をしながら成長していく。
できること、できないことを受け容れたり、
できることを生かしたり、できないことを克服したり。
自分から誰かに助けてもらうことを学ぶ。
この機会は成長のリソースになる。
本人の試行錯誤をひたすら温かく見守ること。
これが本人の問題意識を高める。
もちろん、親として心配になることもあるだろう。
事件事故災害など一撃で再起不能になる要因には、もちろん事前に対処すべきだ。
(※私はサバイバル状況と呼んでいる)
それ以外の状況であれば忍耐強く見守ろう。
親としての成長を試されるところではある。
参照体験を増やす
原則として本人が困るまで放っておけばよい。
本人の一生は本人のものだ。
一方、問題解決の意思を育むために親としてできることもある。
考える材料を増やすのだ。
親が経験したからこそわかることがある。
その経験を伝えることで、子は親を超えていける。
- なりたい自分
- なりたくない自分
のイメージは、実際の体験と、誰かをモデルにした参照体験によって構築される。
このイメージによって新たな視点から自分を評価できるようになる。
カウンセリングにおける認知的アプローチだ。
信頼関係を築き、相手の今に共感したとしよう。
その上で自分のリアルな経験を話すことは参照体験につながる。
率直な失敗談や成功話、特に本人に近い失敗談から自分がどうなったか感情を込めて伝えよう。
(※ただし、Iメッセージで伝える)
(※説教になった瞬間から馬の耳に念仏になっちまうぜ!)
可能であれば色々な大人と触れる機会をつくるのも良いかもしれない。
そして相手に感想を問うてみるとよい。
昔は祖父母、親戚、近所の人など様々な世代や人々に触れる機会があり、参照体験を作る機会があった。
今は放っておくと、自分の知りたいことにしか触れられない。
ゲーム実況だけ見ていても今の自分を測ることはできないだろう。
自分を評価するモノサシは、実際の経験と参照体験の豊かさによって決まる。
そしてイメージとのギャップをリアルに感じたとき、
「このままじゃヤベェ・・・!」と、問題解決の意思が生じるのだ。
ややテクニカルになるが、
- なりたい姿・・・幸せ像
- なりたくない姿・・・論理的結末
を見せるのも良いかもしれない。
まとめ
問題解決の意思があるからこそカウンセリングが成立する。
そのためには、、、
- 本人が困るまで見守る
- 参照体験を増やす
できる範囲でよい。相手の仲間として一緒に問題解決していこう。
読んでくれてありがとう・・・!
実践コースでは、カウンセリングを成立させる準備から終結までの流れ、日常に生かせる技術も学んでいきます。
個別の質問にも丁寧に答えていきます。
ぜひ一緒に学んでいきましょう・・・!
西たかお(Nishi Takao ニックネーム:ニシティ)
心理カウンセラー。科学的な人間理解に基づく心理カウンセリングで、5,000人以上の悩みの解決をサポート。うつ、自殺予防、グリーフケアなどの領域の心理カウンセリングを得意とする。
以前は、コミュニケーションが苦手なIT・エンジニア系プレイングマネージャー。様々な問題を1人で抱え込み、身体不調からうつに。死ぬことしか考えられない日々の中で心理学を学び始める。同じ思いを抱える人を支援するため、心理カウンセラーとして活動をスタートし、独立開業。
企業の相談室での心理カウンセラー、コミュニケーション指導や少年院での心理カウンセリング、事故災害後のメンタルケアなども経験。
心理カウンセラーの専門家として、10年以上の経験・実績。
平本式では、心理カウンセリングのスーパーバイザーとして、また、瞑想リトリートの企画・アドバイザースタッフとしても活躍している。
本文と関連のある集中コースはこちら
プロの技術を体系的に学ぶ
カウンセリングの基礎知識から実践で使える応用トレーニングまでを4日間で集中的に習得します。