カウンセリングは「対話」による問題解決の技術だ。
クライアントの話をしっかり聴き、
整理しながら問題解決の緒(いとぐち)を探り当て、専門家として解決に導く。
そのために白紙で共感など多くの技術を学び、
経験を積み重ねてきた・・・。
ふむ・・・あなたの悩みの解決法は・・・
コレです・・・!ドドーンッ・・・!!
「あ、ありがとうございます〜・・・!」
これにて一件落着ッ・・・!
・・・(ドヤ顔)・・・
という展開を想像する人が多いかもしれないが・・・
※多くはないかw
実はそうではない・・・!
いやいやいや・・・話を整理して解決策が出れば一件落着じゃない・・・?
たしかにその通り。
通常、問題解決の流れはこうだ。
この流れをセッションでそのまま実行するとどうなるか・・・。
表面的な話から想定した表面的な問題解決策ができあがる。
クライアントにしてみたらこうだ。
・・・(そんなことわかっているんだけどな・・・)。
もし本質的な解決策がズバッと見つかったとしても、
・・・(まあ、そりゃあそうなんだけどな・・・)。
と煮え切らない状態になるかもしれない。
話の内容(言語情報)だけを扱って問題解決を図ると
わかったようで納得できないような、奇妙な状態になりやすい。
なぜなら・・・
言葉で語られる内容はすでに意識にのぼっていて吟味され尽くしている。
それでもわからない、もしくは納得できないから相談に来ているのである・・・!
なんてこった・・・じゃあ、どうしたらいいってんだ・・・!?
話の内容以外何をどう扱ったらいい・・・?
仮想体験をつくる
体験には言葉以上のものがある。
いくら考えても気づかなかった本当の課題や解決策が見えてくる。
また、体験を扱うからこそ、深い共感にもつながっていく。
言語と体験の関係
普段、私たちが話す言葉は何らかのイメージを要約して表現したものだ。
そのイメージの裏には、その人の人生経験による非言語情報、感覚的な体験がある。
例えば「青空」と言ったとしよう。
子どもの頃、海で遊んだときの深い青と眩しい太陽を思い浮かべる人もいれば、
冬が終わりかけの頃、故郷を離れるときに見た少しくすんだ、それでいて柔らかな青空が浮かぶ人もいるだろう。
それこそ千差万別。
なぜなら・・・ひとつひとつの言葉の裏にある体験が違うから。
したがって、相手が話す内容とこちらが理解する内容は食い違ってしまう。
必然的に・・・!
カウンセラーは話の裏にある体験について・・・
どうがんばっても無知なままなのだ・・・
私たちは本質的に「わかりあうことができない」のである・・・!
ああ・・・ほんとうに・・・わかんないんだよおぉぉぉッ・・・!
※この辺の脳の情報処理についても実践コースで学ぶ
さらに、クライアントは本質的な課題に頭では気づいていない・・・。
カウンセラーは、話す内容に含まれていない「本人も気づいていない課題」を探り当てる必要がある。
心理的な問題を扱うむずかしさはここにある・・・!
なんじゃあそりゃあぁッ・・・!
じゃあどうやってカウンセリングするんだ・・・!?
そこで仮想体験の出番だ。
仮想体験のつくり方
カウンセラーはセッション中、クライアントの脳内の仮想体験をデザインする。
仮想体験をつくって、その中を探検してもらう感じだ。
この関わりによって、表面的な言葉の奥深くにある一連の感覚や認知にアクセスできる。
潜在意識にしまわれていた真の課題に、クライアント自ら迫っていけるのだ。
体験をつくろう
- 体験を作りたい場面を特定する
- 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚(五感 or VAK)を言葉でガイドして感覚を想起する
- 内受容感覚(内側の感覚)を身振り手振りでガイドして感覚を想起する
- その感覚を強調する
要するにそのときの五感を思い出して、身振り手振りで表現する感じだ。
試しにやってみよう。
- 一切動かずに「美味しいものの味」を思い出す
- 「美味しいものを食べたときの場面」を思い描いたうえで、
「それを食べる動作」を身振り手振りでやってみる
・・・(実験してね)・・・
どちらが味を鮮明に思い出せただろうか。
平本式で特徴的なのは4だ。
カウンセラーが体験に没入し、相手が感じているであろう感覚を強調して表現する。
カウンセラーの体験の深度が深いほど、クライアントの体験が鮮明になる。
※ここでリアリティが決まる・・・腕の見せどころだ・・・!
こんなふうに、脳に伝える情報量をコントロールして相手の中に仮想体験をつくっていく。
仮想体験の深度は話題や進行管理による。
※特にトラウマ対処では厳密にコントロールする
この体験の中で
- タイムスリップしたり
- 違うパターンの人生を歩んだり
- 魔法使いのように違う世界を見せたり
そんなことをしながら、問題解決に向けて進んでいくのである。
言葉だけでは到達できない、より深い世界を扱っているのがわかるだろうか。
いや〜カウンセラーってすごいな・・・!
マジかっこいい・・・!でも、むずかしいんでしょ・・・?
そう、体験をつくるにはコツがある・・・
平本式心理カウンセリングは、相手の内側に体験をつくる手法が体系化されている。
ひとつひとつの手順や動作に意味がある。
4日間集中セミナーを受講した方はそれらを体験済みなので、
あとは分解整理して、実践的な体験を積み重ねるだけ。それが実践コースの役割である。
※仮想体験の操作はサブモダリティの回で学ぶ
エビデンスのある方法論を本や動画で学ぶのは大切。
さらに体験はもっと大切だ。
体験の積み重ねが人生をつくるのだから・・・。
というわけで・・・実践コースでは理論と技術を体験的に学んでいきます。
ぜひ一緒に学んでいきましょう・・・!
体験は大事・・・!
西たかお(Nishi Takao ニックネーム:ニシティ)
心理カウンセラー。科学的な人間理解に基づく心理カウンセリングで、5,000人以上の悩みの解決をサポート。うつ、自殺予防、グリーフケアなどの領域の心理カウンセリングを得意とする。
以前は、コミュニケーションが苦手なIT・エンジニア系プレイングマネージャー。様々な問題を1人で抱え込み、身体不調からうつに。死ぬことしか考えられない日々の中で心理学を学び始める。同じ思いを抱える人を支援するため、心理カウンセラーとして活動をスタートし、独立開業。
企業の相談室での心理カウンセラー、コミュニケーション指導や少年院での心理カウンセリング、事故災害後のメンタルケアなども経験。
心理カウンセラーの専門家として、10年以上の経験・実績。
平本式では、心理カウンセリングのスーパーバイザーとして、また、瞑想リトリートの企画・アドバイザースタッフとしても活躍している。
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